こちらの記事では、実際に自社で使っているフレームワークの内容の解説を行なっていきます。
「ブランド価値作成フレームワーク」の構成は大きく2部で構成されています。
1:ブランドブック(成果物)
2:ブランドブックワークシート(作業用)
ブランドブックワークシートで自社と他社の強み弱み、顧客の目的、ニーズをあぶり出す3C分析などを行なって、その上でブランドブックを完成させていきます。
ブランドブックワークシートはあくまでブランドブックを完成させるためのシートです。
ですが、目的は「自社の強みを明確化し、価値を見出すこと」です。
綺麗に作り込む必要はありません。
ブランドブックが完成形であり、これが自社のブランドに関するマニュアルです。
社員にブランドを浸透させるパンフレット代わりや、自社の方向性に迷ってしまった時などの自社ブランドの見返し、様々な場面でこのブランドブックは活用できます。
こちらからGoogleドキュメントでダウンロードできます。
コピーしてお使いください。
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ブランドブック作成後はオンラインの中に留めず、ぜひ印刷していつでも見返せる場所に保管しておいてくださいね。
ワークシートの流れ
ワークシートの流れは、まず経営の基本事項を記入します。
事業フロー、業務フローで、会社全体について整理し、その中から強みを抽出します。
続いて「機会、脅威」の外部環境を整理して、業界などの動向を整理します。
次に、会社ターゲット顧客と競合顧客を選定しさらに自社の強みを抽出します。
最後に、これら全ての情報を踏まえてブランド・アイデンティティを決定してブランドブックを完成させます。
ブランディングの目的
ワークシートの最初は「ブランディングの目的」です。
目的を明確にしておかなければ作業に集中しすぎて「手段の目的化」になり、本来の目的を見失い、ワークシートを作成することが目的になってしまう可能性があります。
また、フレームワークを活用する際に、項目に従って機械的に言葉を埋める「作業」になるのはNGです。
作業中は常に目的を意識して、会社の現状を整理しながら常にどこに当社の強みがあるのかを探っていくことが重要です。
経営の基本事項
経営の基本事項とは
「経営理念」「ミッション」「ビジョン」です。
経営理念とは・・・
「経営者が考える、その会社の存在意義、目的意識」であり「その会社は何のために存在し、そこの社員は何のために働くのか」ということを明文化したものです。
ミッションとは・・・
「会社の使命で、会社や世の中へいかに貢献するか」を表します。
ビジョンとは・・・
「会社が目指す将来の姿(ゴール)全社員が目指すべき目標」を指します。
ここでは、自社の強みの抽出が目的なのでこれら全てを整理して、強み抽出の参考にしてください。
最後に「顧客にどう思われたいか」とありますが、これがこの後に作成する「ブランド・アイデンティティ」になります。
分析して吟味する前に、単純に顧客に思われたいことを明記し、最終的に構築するブランド・アイデンティティとの比較材料にしてください。
「事業フロー」と作成方法
事業や業務の流れから強みを抽出する方法について解説します。
まず事業フローとは、事業全体のプロセスを示したものです。
具体的には「どこから何を仕入れて、どこで何を販売しているのか」という事業の流れを図にしたものです。
この流れを図に示すことで、強みはないかを探ります。
「業務フロー」と作成方法
続いて、業務フローとは、会社概要のプロセスを示したものです。
この業務フローが重要な職種は、主に製造業とサービス業です。
これらの職種は、各プロセスの中に強みが隠れている場合が多いので、プロセスを詳細に分解して、それぞれから強みを抽出することが必要です。
具体的には、製造業は、製造工程を詳細に分解して整理し、各工程で何が強みなのかを探っていきます。
また、サービス業は会社の中の業務フローではなく、顧客の受けるサービスの手順を明記して各サービスについて、自社の強みを抽出します。
なお、小売業や卸売業、飲食店などは、これらの業務フローは必要ない場合が多いです。
歴史・沿革から探るポイント
「歴史・沿革」の項目では、創業から現在までの実績について整理します。
よく会社案内に沿革が明記されていますが、その内容をそのまま記入してもあまり意味はありません。
そうではなく、過去の歴史の中で強みとなる出来事がないかを探っていくというわけです。
なお、創業者である社長が前職の経験を活かして起業したような場合、前職の経験が強みになることがあります。
その場合は、会社の沿革の他、創業者の職歴も明記することで、前職で培った社長の強みがそのまま会社の強みとなり、その強みを抽出することができます。
機会・脅威から探るポイント
続いて「機会・脅威」です。
「機会」とは自社にとってプラスになる外部要因であり「脅威」は反対に、自社にとってマイナスになる外部要因です。
ちなみに「外部要因」とは、自社でコントロールできない要素を言います。
自社でコントロールできるものは「強み」と「弱み」に該当します。
ターゲット顧客から探るポイント
ターゲット顧客の選定は、BtoC(一般消費者向けビジネス)とBtoB(企業向けビジネス)に大きく分かれますが、それぞれ既存顧客に中で今後最も注力すべき顧客層を導き出すことが有効です。
BtoCの場合は、特定の顧客層がイメージできるところまで絞り込むと分かりやすくなります。
具体的には、性別、年齢層、仕事、趣味、性格、好きなこと・嫌いなことなどです。
一方で、BtoBについては、あまり絞り込む必要はありません。
職種や取扱商品、商圏、起業規模程度で十分です。
競合他社から探るポイント
競合他社の選定は、実際に競合になり得る会社を数社ピックアップします。
複数指定することで、自社よりも競争力のある大手企業や、自社と同等レベルの会社、自社よりも競争力の低い会社など、競合状況をまんべんなく把握することができます。
そうすることで、自社がどの市場で勝負するか、つまり、何を「価値」として設定してブランド・アイデンティティを構築するかがより明確になります。
顧客の目的と抱える問題
ここでは顧客の目的、抱える問題点を全て「見える化」する作業を行います。
この目的や問題に対してニーズは発生しますので必ずにニーズを考える前に目的と問題を考えてくださいね。
顧客の目的というのは文字通りの意味になります。
カフェに行く目的、美容院に行く目的、HP制作会社を利用する目的など、あなたの事業を利用、活用する顧客の目的を抽出します。
カフェに行く目的は
・仕事をしに行く
・朝食を食べにく
・友人とおしゃべりをしに行く
目的はできるだけ複数個用意して切り口をたくさん作りましょう。
次に顧客の抱える問題点の「見える化」です。
顧客の抱える問題点とは、例えば「悩んでいる」「困っている」「不満や不安」「ストレスを感じる」など、顧客がマイナスに感じる全ての物やことです。
顧客の目的、問題が顧客のニーズに繋がり、これらに対応することで、差別化された「強み」「価値」に繋がります。
もし現時点で顧客の火かける問題に対応できていなかったとしても、今後対応が可能であれば、これらを新たな強みとして構築することができます。
顧客ニーズの発見
顧客の抱えるニーズとは、例えば顧客が「こんな物やことがあれば嬉しい」「これがあれば満足」「これがあると助かる」「こんなものが欲しい」「これがあれば便利」など、顧客が必要に感じたり欲したりする全ての物やことです。
ここでもより多くのニーズを掘り起こしてください。
似たようなニーズや同じ意味を持つようなニーズを複数出しても問題ありません。
なぜなら漏れる方が問題だからです。
なぜなら、目的は自社がこれから勝負する価値を導き出すためには「より多くの強みを抽出する」であるため、被ることは問題にはなりません。
また、ニーズをあぶり出す項目を細分化して絞り込むことで、思考を集中することができ、より詳細に、より深く思考することができるのでより多くの内容を抽出することができます。
競合他社の強み・弱み
ここでは競合他社の強みを見える化する作業を行います。
順番通りにワークシートを進めていればワークシートの7項目目に、複数の競合他社をピックアップしたと思います。
この競合他社というのは、 業界の大手ではなく、 実際に競合する相手です。
ここでは、これらの競合他社について分析した結果をあぶり出します。
具体的には、各々の競合他社の強みと弱みの見える化です。
競合他社の強みとは
「当社より優れている」
「当社ではできない」
「当社ではやっていない」などの物事です。
そして競合他社の弱みとは
「当社より劣っている」
「当社が実施していて、競合他社が実施していない」
「顧客のニーズはあるが、競合他社が実施していない」
「顧客から不満が出ている」などの物事です。
競合他社の情報については日常の営業活動で入手することが多いのですが、知り得る情報が限定的な場合があります。
そのため、現時点で知り得ている情報に加え、ホームページなどから得られる情報の範囲で記入してください。
わかる範囲の炙り出しで大丈夫です。
自社の強み、顧客のベネフィット
ここでは、自社の強みとそれに伴う顧客のベネフィットを全て見える化する作業を行います。
ここでは、より多くの強みを引き出すことに専念してください。
前項までに作成した
「顧客の目的」
「顧客の問題点」
「顧客のニーズ・ウォンツ」
「競合他社の強み・弱み」
を見ながら、できるだけ多くの強みを引き出すことに思考を集中してください。
ここで抽出した強みの中から、ブランド・アイデンティティに使う 「価値」を決定します。
そのため、 価値になる候補の強みは、たくさんあったほうがいいというわけです。
なお、前述しましたが、ここであぶり出す強みは、 競合と強みが重複しても問題ありません。
この中から価値を見出す際に取捨選択すればいいので、この段階で絞り込まないようにしてください。
自社の弱み
ここでは自社の弱み、そしてそれの解決策の案を見える化する作業を行います。
マーケティングやブランディングは「強みをどう活かすか」が重要になりますが、ここで弱みと、その解決策も、可能な限り記入します。
なお、解決策が強みにならない場合や、解決策が実行できない場合、解決先を導き出せないケースもあるかもしれません。
その場合は、「解決策」の欄は空白でも問題ありません。
ここから作成するのが今までワークシートで分析した内容を整理した、ブランドのマニュアルとなる、ブランドブックの完成形です。
これを使って印刷すれば、1枚で簡潔に整理されているので、 自社ブランドを容易に社内に徹底することもできます。
実際にブランドブックに記入しながら進めていってくださいね。
自社の欄
最も上段にあるのが「ブランド アイデンティティ」で、今後のプランディングのベースになるものです。
今までワークシートで分析してきた中で、最もベネフィットの大きい強みを価値として、「顧客にどう思われたいか」を20~50文字で文章にします。
その下が「ブランド・アイデンティティの説明」 であり、 上記のようなブランド・アイデンティティになった理由や背景を説明する欄です。
次は 「その他の強み、 特徴、こだわり」 です。
ブランド・アイデンティティの補足となる強みや特徴、こだわりを、この欄に整理します。
続いて 「強みの根拠」です。
これは、 顧客に対して 「なぜこのブランド・アイデンティティを実現できるのか」の根拠となる内容を示す欄になります。
例えば、 「過去の実績」 「社歴」 「評判」 「保有資格」「表彰」「調査・研究結果」 などが該当します。
その下が 「日常の業務で守ること、 気を付けること」であり、当社のブランドを維持発展させ、毀損させないために、「社内で必ず実施する・守る)こと」と「禁止事項」についてまとめます。
顧客、競合他社の欄
その下が「顧客」の欄で、「ターゲット顧客」と「顧客のニーズ」を整理します。
最後が「競合他社」で、各競合他社の強み・弱みを整理します。
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